みなさん、こんにちは。
8月の中旬ごろに、愛用しているカメラ、ニコンD750を定期メンテナンスに出したのですが、なんとカメラを受け取りに行ったところ、センサーに傷がついていると指摘されてしまいました・・。
私はこれまでセンサーの清掃は一度も自分で行った事がなく、すべてニコンのサービスポイントに依頼していましたので、これはまさに寝耳に水という奴でした。
しかし自分でやっていないという証明をする事ができず、相手がやったという証拠もないため、泣く泣くメンテナンス料を支払ってカメラを受け取って帰ってきたのです・・・。
ここまでは前回の記事で書いていますので、今回はその後についての話です。
まあセンサーの傷といっても、実際にはローパスフィルター上に傷が付いているだけですので、レンズを絞って撮影しなければほとんど影響はありません。背景に建物などがあれば全く分かりませんし、青空を撮影してもF20ぐらいにするとほんの少し影っぽく映る程度でした。
そのカメラを持ってフランスに2泊3日で旅行に行きましたが、500枚ぐらい写真を撮っても傷が気になったのは一枚もありません。
しかしやっぱりそこに傷があるという事実は気になります。いちおうニコンのサービスポイント(私はドイツ在住なので、ケルンのサービスポイント)にセンサー交換の見積もりを頼んだところ、約600ユーロの見積もりを貰いました。7万5千円ぐらいですね・・。
幸い私はカメラに毎年保険料を払っているので、50ユーロの自己負担で修理ができます。このほとんど気にならない傷を治すかどうか、保険会社に依頼する場合は、いったいその傷の理由をどのように説明すれば良いか1週間近く本気で悩みました・・・。
目次
過去の写真をチェックしたら一枚も傷がついたものがなかった・・。
あれこれ悩んでいる間に、フランス旅行で撮影した写真などを現像していたのですが、背景が青空だと、F8でもセンサーの傷が分るという事実を発見しました。もちろん写真をそのまま見ただけでは全く分かりませんが、実はライトルームのスポット可視化という機能を使うとそこに傷があるのが分るのです。

スポット可視化というのは、センサーについてホコリを見やすくするための機能で、写真が白黒で表示されます。そうすると点々のホコリの他に上の写真のようにセンサーの傷が浮かび上がってきます。
それで、気になってメンテナンスに出す前に撮影した写真を過去半年に渡って確認してみたのです。F8以上に絞って撮影した写真をいろいろと確認してみました。
コロナでロックダウン中にはマクロレンズで綿毛写真などもたくさん撮りましたので、F20ぐらいに絞った写真もたくさんあります。
そこでいろいろと写真をチェックしたところ、なんと一枚もセンサーの傷を見つける事が出来ませんでした。
この時点で、サービスポイントでセンサー清掃時に傷がついたのではないか、という疑いが強くなります・・。
似たような条件で撮影してみる。
なので、カメラのメンテナンスに出す前に撮影した写真と似たような条件で写真をとってチェックしてみる事にしました。これで傷が確認できたとすれば、やはりメンテナンスで傷がついた可能性が高くなります。
というわけで、メンテナンスに出す前の週末に撮影した写真を、似たような条件で再現してみます。

これはメンテナンスに出す直前に撮影したものです。NDフィルターを付けてF13まで絞って撮影しました。雲が流れて背景が白くなっている部分にセンサーの傷がついているのですが、それをスポット可視化して見えるかどうかチェックしてみます。

青い丸で囲ったところですが、特に何も見えませんね。
まあ背景が雲なので正直傷があっても分かりづらいとは思いますが、一応同じように雲を背景にしてF13にして再現撮影してみます。

とりあえず、F値を13にしてNDフィルターを付けて雲を背景に撮影してみます。雲も結構形がはっきりしているので傷があったとしても写っているかどうかは微妙な感じでしたが、これをライトルームを使ってスポット可視化してみます。

するとどうでしょう、雲があってもセンサーの傷がある事がはっきり分かります。

その部分だけ拡大してみますが、ひっかき傷が横に1本入っているのが分かります。なんといってもセンサーの傷がこれですからね・・。

私はこのようにして、過去に撮影した条件と同じF値(F8以上)、そして同じ背景(青空など)で何枚も撮影しましたが、メンテナンス後は全ての写真で傷が確認される事が分かりました。今回はメンテナンスの直前に撮影した写真と言う事で上の写真を例として挙げましたが、例えばロックダウン中に撮影したマクロ写真や、背景が青空の観光写真なでどはその差がほんとうにはっきりと表れました。
これでこの傷がメンテナンス時に着いた事をほぼ確信しました。
ニコン本社(ドイツ)に苦情の手紙を書く
ドイツには主要都市にはニコンのサービスポイントがありますが、デュッセルドルフを除いては、全て委託した別会社という扱いになっています。そのためサービス内容も店舗によって微妙に異なっているわけですが、私がメンテナンスを依頼したケルンのサービスポイントもまあ厳密にはニコンとは別会社です。
カメラの受け取り時に、彼らが自分たちでセンサーに傷をつけたのではないと主張している以上、苦情の手紙をケルンに向けて書いてもしょうがないと思ったので、上に例として挙げたような写真を何枚も用意して、ニコンに苦情の手紙を書きました。ちなみにドイツでは苦情は正式な文書として手紙で送るのが最も効果があります。
まあ手紙の詳しい内容には触れませんが、私にもサービスポイントで傷がついた事を証明できないため、いきなり無償修理を要求するのではなく、あくまで状況証拠として写真を提出し、判断をニコン本社に委ねる事にしました。証拠としてメンテナンスの前後で比較した写真を15,6枚提出しました。
ニコン本社(ドイツ)の対応は割と迅速だった。
正直、誰が傷をつけたのかわからないような状況では、泣き寝入りせざるを得ない事って多いと思うんですが(車のメンテナンス後に傷に気付いたという話は良くありますね。)、ニコン本社の対応は早かったです。
なんと苦情の手紙を送った次の日にケルンのサービスポイントから“無償でセンサー交換します。”という連絡がありました。その電話では自分たちがやった事を認めて謝罪するという事は一切ありませんでしたが、まあセンサーを無償交換修理するという事でこちらも目的が果たせたわけですから、それ以上は突っ込みません。
それと同じ日に、ニコン本社からも、“サービスポイントケルンが、この件にしっかり対応します”というメールが送られてきました。まあメンテナンスしたのはあくまでケルンなので、そこが責任を取るというのは筋が通っていますね。
センサー交換から帰ってきたら、グリップラバーが再利用されていた・・・。
というわけで、カメラを持って再びケルンに行きましたが、センサー交換の修理自体は結構早かったです。金曜日に預けて、次の週の木曜日には修理が完了したとの連絡が来ました。実質3営業日ぐらいで修理が終わりましたね。
受け取りに行ってみると、カメラはしっかりとビニールに梱包されていたので、そのまま受け取って、家に帰って来てから確認してみます。早速絞りを絞って白い壁を撮影して傷がないか、確認してみますが、どうやら新しいセンサーにしっかり交換されているみたいですね・・。
これでようやくカメラが元通りになったと喜んでいると、なんか違和感が・・・。よく見てみると、グリップのゴムがきっちりはまっていません。

なんか、ちょっと剥がれていて隙間が出来ています。さらに使ってみて気が付いたのですが、人差し指のダイヤルの所の赤い部分がなんか出っ張っていてダイヤルを回しづらい・・。本当はこんな段差はありません。

センサーを交換する時には、カメラの本体を開けるためにこのグリップ部分のゴムを剝がさなければなりませんが、どうやら一度剥がしたものを再利用したようですね・・。剥がすときにゴムは伸びていますから、きちんとはまらないのは当然です。
正直、どうしてこのような姿のまま帰ってくるのかまるで理解できませんが、そこは冷静になって、ゴムがきちんと付いていないので新しいものと交換するようにケルンにメールを送りました(今回は苦情という形ではなくただのメールにしました。)。
すると、“ゴムの在庫がないため2週間後にもう一度連絡をくれ”との連絡が返ってきました・・。普通だったら、そっちから連絡するべきだろうと腹も立ちましたが、まあ在庫がないので、これ以上文句をいっても無意味だろうと思って、様子を見る事にしました。すると2週間過ぎる前に、“入荷したので交換します。”とのメールが来ました。
おわりに
というわけで、今日再びケルンのサービスポイントまで行ってグリップのゴムを交換してもらいました。家からは往復100キロはあるので、結構遠いんですが、まあ1か月以上の時を経てようやくニコンD750が元の姿に戻りました・・・。
もう少しでうっかり自分の保険を使って修理を依頼する所でしたが、そうならないで済みました。状況証拠を集めるのには結構時間がかかりましたが、それでもニコン(本社)に苦情を送ったのは十分に効き目があったみたいです。
サービスポイントがやっていないと言っている以上、無償修理はできない、と言われる可能性もありましたからね・・。私が集めたのはあくまで状況証拠でしたので・・。
それにしてもケルンの対応には疑問が残るものとなりました・・・。どうしてグリップのゴムを再利用して何事もなかったかのように返したのか、その神経が納得できません。文句言われなければラッキー、というぐらいの気持ちで仕事してるんでしょうかね・・。仮に在庫がなかったのであれば、“在庫がなかったのでとりあえず、すぐに写真が撮れるようにゴムを再利用した。剝がれてくるような事があれば在庫が入り次第交換するので、それまでこれで使っていてくれ“ぐらい言うのが普通だと思いますが・・。やれやれ・・。
まあ時間はかかりましたが、最終的にはこちらの主張が全て通り、しっかり治してもらったのでその点ではすっきりしました。
日本とドイツでは対応の仕方も結構違うと思いますが、もし私と似たような状況になってしまった方がいましたら、何かの参考にでもしていただければと思います。